公園のベンチでパンを食って、俳句作ってひと眠り。
なんて悠長な事をやっていると、命取りになる、この猛暑日。
「この夏は節電だ」
なんて言っておきながら、炎天の街を彷徨っていると、
理性を無くして、冷房を求めてしまう。
学生通りを行く学生たちは、みな顔を真っ赤に染めて、自転車で行く。
これが、夏も盛りの頃になると、日焼けして真っ黒な学生等が、
目に付くようになる。
「あれ」
と、通り行く学生の中に、時折。
高校生時分の友達に、そっくりな顔を発見する事がある。
あの人も大人になっている筈なので、本人の訳はないのだが、
一瞬、目を疑ってしまう。
それはおそらく、彼彼女等の着ている学生服が、
眠っている記憶を喚起させるのだろう。
ファミリーレストランの窓際で、そんな光景を眺めていた。
景色が遠く遠く、見えるのは、気分が落ち込んでいるから。
先程、レストラン内のトイレで、ふと鏡を覗くと、髪の毛の中に白い筋が。
「白い筋」
などと、まどろっこしい、つまりは、白髪を発見したのである。
私は元来、白髪など一本も無い体質だったので、ささやかな衝撃を受けた。
直ぐ抜いて、探せば合計二本。
「何を白髪ごときで」
人生の先輩諸氏等の薄笑いが見えるが、人生の曲がり角のようなものが、
おぼろげに迫って来ている感覚がした。
ストローの中を行ったり来たりしているアイスコーヒーを見つめながら、
頭の中で、五・七・五。
「まてよ」
まさかこれが、グラスにつく水滴の様に、頭の中から外へ働きかけ、
若白髪を生成しているのでは。
ぼんやり考えていると、グラスの氷が崩れ、涼しげな音が小さく鳴った。
【天候】
まだ日は淡いながらも、蒸し暑い一日。
群馬県の平野部では軒並み猛暑日となり、不快指数甚だ高し。