1270声 白き夏

2011年06月23日

公園のベンチでパンを食って、俳句作ってひと眠り。
なんて悠長な事をやっていると、命取りになる、この猛暑日。
「この夏は節電だ」
なんて言っておきながら、炎天の街を彷徨っていると、
理性を無くして、冷房を求めてしまう。

学生通りを行く学生たちは、みな顔を真っ赤に染めて、自転車で行く。
これが、夏も盛りの頃になると、日焼けして真っ黒な学生等が、
目に付くようになる。
「あれ」
と、通り行く学生の中に、時折。
高校生時分の友達に、そっくりな顔を発見する事がある。
あの人も大人になっている筈なので、本人の訳はないのだが、
一瞬、目を疑ってしまう。
それはおそらく、彼彼女等の着ている学生服が、
眠っている記憶を喚起させるのだろう。

ファミリーレストランの窓際で、そんな光景を眺めていた。
景色が遠く遠く、見えるのは、気分が落ち込んでいるから。
先程、レストラン内のトイレで、ふと鏡を覗くと、髪の毛の中に白い筋が。
「白い筋」
などと、まどろっこしい、つまりは、白髪を発見したのである。

私は元来、白髪など一本も無い体質だったので、ささやかな衝撃を受けた。
直ぐ抜いて、探せば合計二本。
「何を白髪ごときで」
人生の先輩諸氏等の薄笑いが見えるが、人生の曲がり角のようなものが、
おぼろげに迫って来ている感覚がした。
ストローの中を行ったり来たりしているアイスコーヒーを見つめながら、
頭の中で、五・七・五。
「まてよ」
まさかこれが、グラスにつく水滴の様に、頭の中から外へ働きかけ、
若白髪を生成しているのでは。
ぼんやり考えていると、グラスの氷が崩れ、涼しげな音が小さく鳴った。

【天候】
まだ日は淡いながらも、蒸し暑い一日。
群馬県の平野部では軒並み猛暑日となり、不快指数甚だ高し。