週末は、紫陽花を見に行った。
近所の公園へ見に行く。
と言う、手軽な方法で無くて、
電車に乗って、東京の名所まで見に行った。
飛鳥山。
と言えば、江戸時代からランキングの上位を守ってきた、
知る人ぞ知る、桜の名所である。
公園として整備された現代の飛鳥山では、
桜と双璧をなすのが、紫陽花である。
毎年、この梅雨の時期になると、紫陽花見物客で、園内は賑わう。
特に、飛鳥山の麓にある、「飛鳥の小径」と言う、線路脇の細い道。
山肌に紫陽花が連なり、梅雨の一日を彩っている。
一眼レフを肩から下げた人たちに交じりつつ、
王子駅を降りて、直ぐ裏の飛鳥山公園へと入る。
「さくら新道」と言う、スナック長屋(スナックが沢山入店している長屋)を抜けて、
小径に入ると言うのも、オツである。
紫陽花を眺めながら、句帳に句を認めていると、背中に感じる視線。
振り向けば、こちらに向いている、一眼レフが三機。
早々に立ち退いて、飛鳥山の上へと登る。
飛鳥山からは王子の街が一望できる。
頂上は公園になっていて、砂場の横で、
遠足の子供たちがお弁当を広げている。
その周りを、飛び跳ねている子供、茶屋で焼きそばを食べている家族。
駅のホームに京浜東北線の青い電車が入線して、また出て行く。
湧き出しては流れて行く、人波。
いまにも降り出しそうな梅雨空の下に在る、この街は、私がかつて住んでいた街。
「会いに来たかったんだ」
と思った。
この、風景に。
【天候】
終日、梅雨らしい曇天。
蒸し暑いが、暑さ苛烈ではない。