1277声 蛍の影

2011年06月30日

民謡を聞きながら強かに酔っている。
と言う事はどうでもよくて、昨日、書けなかった分を書かねばならぬ。

「蛍句会」
と相成った昨日は、先生宅へ集合してから、車を乗り合わせて、移動。
俳人が俳人を呼んで、七人のメンバーとなった。
若輩の私は勿論、運転手で、ハンドルを握ることおよそ、十五分。
着いた先は東吾妻町の「箱島湧水」。
群馬県では、名水と共に名高い、蛍スポットである。

「ゲンジが終わってヘイケ」
とおっしゃったのは先生。
ヘイケホタルの、忙しなく明滅する光につられ、
真っ暗やみの中、句帳に句を認めてゆく。
「乱舞」とまではいかないが、それでも、地上にある星空の如く、
蛍の火が草むらに息づいていた。

蛍沢から周辺の里山を歩いた。
道脇にある、墓場に、二、三の蛍火が舞っていた。
「会いに来たのね」
着物を着ているメンバーの一人がそう言ったが、私も、そんな印象受けた。
戻り来て、蛍守の方がいる横に、小さな池があった。
水面には、夜よりも深い色で、山並が映っている。
ゆらゆらと飛んで来た蛍に、生まれている影が、水面に映っていた。

ひとしきり見て歩いて、先生宅へ帰って、句会。
句は当然ながら、「蛍」と言う季題に集中していたが、
一つの季題に集中していると言うのも、
詠む人毎、様々な季題の捉え方が顕著に分かり、面白かった。
私は、まずまずという結果だった。

夜も更けて、帰路の途中。
蛍守の方が行った言葉が、耳の奥に残っていた。
「明日も勤めがありますからね」
幻想的な蛍の火の、非現実世界から、世俗の現実世界へ、
一気に戻される思いがした。

【天候】
曇りがちな晴れ。
夕立があり、その後、高崎方面に夕虹がかかった。