1282声 湯屋のガガ

2011年07月05日

青い山の裏には、もくもくと湧き上がる夏の雲。
強い日差しと、突然の夕立。
今日は、もう梅雨が明けてしまったかのような、天気であった。

夕方には、大きな西日が青田を照らしていた。
青田に映っている茜色の空。
入っては出て行く雲。
仄かなる夜風の香りに誘われて、自転車を漕ぎ出した。

自転車を停めたのは、高崎市内の銭湯。
まだ明るい内の風呂てぇのは、とても贅沢な気分になれるので、
好きな時間帯。
朝湯も好きだが、県内では、前橋市の一軒でしかやっていないので、
年に何度も入れない。
それなので、まだ、身上を潰さずに済んでいるのかも知れない。

湯船に浸かって一息。
夏期間の銭湯は、早い時間が空いている気がする。
あまり早く入っても、寝るまでに汗をかいてしまうからだろうか。
私などは、銭湯に入っても、寝る前にシャワーを浴びる事がしばしば。
と言うか、頻繁にあるので、その点は効率が悪い。
しかし、夕方の入浴が好きなのだから仕方ない。

誰も居ない浴室。
湯船で足を伸ばしていると、女湯からはずんで来る声。
主はどうやら、おばちゃん二人らしい。

「そうよねぇ、ほら、いるじゃない」
「えっ、だれが」
「ほら、この前来た、あの外人さんの」
「あっ、レディーガガよね」

まさか、おばちゃん同士の会話から、
世界をときめかせているポップアイコンの名前が出て来るとは。
ここは、アメリカのニューヨークでなく、高崎市の入浴する場所である。
しかも、「レイディーガガ」と、若干発音がネイティブっぽい。
なんだか、そこはかとない敗北感を覚えつつ、瓶牛乳を飲んで帰路に着いた。
歌えないけど、鼻歌を奏でながら、すっかり日の落ちた山へと漕いで行った。

【天候】
朝は雨なるも直ぐに上がり、梅雨晴れ。
高崎市周辺、昼に一時雨降るも、豪雨と言ったほどでなし。
終日、真夏日。