1292声 本を埋める

2011年07月15日

酒が良かったからか、寝汗をかいたからか。
昨晩、度を過ぎて飲んだ酒が、やけに残っていない。
と言う、感慨も束の間、午前六時半ともなれば、
入り込む朝陽に部屋の室温が上昇し、横になっていられない。
額には玉の汗で、寝巻きはぐっしょり濡れている。
これじゃあ、残るものも残らない訳である。

朝食が、バニラアイスとコーヒーゼリーと言う、混沌具合。
寝てる間に、相当、脳みそが沸騰してしまったらしい。
それから、長い一日。
夢遊病者の如く、炎天下を彷徨い歩いて、帰宅。
「車の重心がやけに傾いている」
と思って、思い出した。
書店から引きあげて来た、およそみかん箱に二箱分ほどの、
大量の本を、積みっぱなしだったのである。
早いところ下ろさねば、熱で駄目になってしまう。
さりとて、狭い我が家には、もう下ろす場所が無い。

「埋めるか、庭に」
挙句には、そんな事まで真剣に考えた。
しかし、みかん箱ごと土に埋めたとして、直ぐに朽ちてしまうであろう。
タイムカプセル式に、何か、保存できる容器に入れなければならない。
大きな穴を掘り、保存容器に本を入れ、土をかぶせる。
そして、木札をさして、記す。
「群馬伝統銭湯大全ここに眠る」

ぼんやりと、大量の本が目の前にあると言う現実から、非現実の世界の旅へ。
脳内に描いた、その妄想映像だけで満足し、「バタン」と、車のドアを閉めた。
「後で下ろそ」
と思った。

【天候】
終日、夏日。
夜、栃木県で震度5弱の地震。
高崎は震度3程度。