酒が良かったからか、寝汗をかいたからか。
昨晩、度を過ぎて飲んだ酒が、やけに残っていない。
と言う、感慨も束の間、午前六時半ともなれば、
入り込む朝陽に部屋の室温が上昇し、横になっていられない。
額には玉の汗で、寝巻きはぐっしょり濡れている。
これじゃあ、残るものも残らない訳である。
朝食が、バニラアイスとコーヒーゼリーと言う、混沌具合。
寝てる間に、相当、脳みそが沸騰してしまったらしい。
それから、長い一日。
夢遊病者の如く、炎天下を彷徨い歩いて、帰宅。
「車の重心がやけに傾いている」
と思って、思い出した。
書店から引きあげて来た、およそみかん箱に二箱分ほどの、
大量の本を、積みっぱなしだったのである。
早いところ下ろさねば、熱で駄目になってしまう。
さりとて、狭い我が家には、もう下ろす場所が無い。
「埋めるか、庭に」
挙句には、そんな事まで真剣に考えた。
しかし、みかん箱ごと土に埋めたとして、直ぐに朽ちてしまうであろう。
タイムカプセル式に、何か、保存できる容器に入れなければならない。
大きな穴を掘り、保存容器に本を入れ、土をかぶせる。
そして、木札をさして、記す。
「群馬伝統銭湯大全ここに眠る」
ぼんやりと、大量の本が目の前にあると言う現実から、非現実の世界の旅へ。
脳内に描いた、その妄想映像だけで満足し、「バタン」と、車のドアを閉めた。
「後で下ろそ」
と思った。
【天候】
終日、夏日。
夜、栃木県で震度5弱の地震。
高崎は震度3程度。