1294声 自と季の目線

2011年07月17日

「暑いので体に気をつけましょう」
句会場の会議室へ入ると、まずホワイトボードに大きく書いてある、
その文字が目に入った。

昼前に、吟行地へ到着。
日盛りの公園をほっつき歩いていると、所々に見える日傘。
あれはおそらく、この句会の参加者。
「みんな、川へ行ったぜ」
緑陰に佇んでいる先生が声をかけてくれたが、
その声音からは、「やれやれ、この暑いのに」と言うあきれ加減が伺える。
「行きましょう」
今来たばかりの私がそう言うと、しぶしぶ、置いてある荷物を持って、
先生も緑陰から一歩踏み出した。

「川」
と言うのは、公園の裏に流れる利根川の事。
来てみれば、「夏の川」と言う大きな景の中に、色々な発見があって面白い。
鳶や鷹が飛んでいたり、釣人がいたり、瀬音が涼しかったり、
河原の石がやけていたり。
汗を拭きつつ、炎天下でご高齢の先輩俳人が句作している姿は、
俳句の過酷さを物語っている。
「自然を詠む」
と言う事は、まず自然と、つまり詠もうとしている季題と、
同じ目線に立たねばならない。

幸い、熱中症で倒れる方は誰もおらず、この日の句会は無事終了した。
私は、おまけ程度に先生から一句特選を頂いたが、別の選者からはからっきし。
全体的に不出来であった。
句会の後に、何名かで喫茶店へ移動した。
俳句談義の中で、先生が「蛇」の句を作る為に、
実際に蛇を飼いながら句作していた話を聞いた。
これもまた、自然と、その季題と同じ目線に立つ、と言う事だろう。
冷珈琲のストローを弄びつつ、頭の中で、
今日詠んだ自らの浅はかな句を、おさらいしていた。

【天候】
終日、猛暑日。
※18日記