「暑いので体に気をつけましょう」
句会場の会議室へ入ると、まずホワイトボードに大きく書いてある、
その文字が目に入った。
昼前に、吟行地へ到着。
日盛りの公園をほっつき歩いていると、所々に見える日傘。
あれはおそらく、この句会の参加者。
「みんな、川へ行ったぜ」
緑陰に佇んでいる先生が声をかけてくれたが、
その声音からは、「やれやれ、この暑いのに」と言うあきれ加減が伺える。
「行きましょう」
今来たばかりの私がそう言うと、しぶしぶ、置いてある荷物を持って、
先生も緑陰から一歩踏み出した。
「川」
と言うのは、公園の裏に流れる利根川の事。
来てみれば、「夏の川」と言う大きな景の中に、色々な発見があって面白い。
鳶や鷹が飛んでいたり、釣人がいたり、瀬音が涼しかったり、
河原の石がやけていたり。
汗を拭きつつ、炎天下でご高齢の先輩俳人が句作している姿は、
俳句の過酷さを物語っている。
「自然を詠む」
と言う事は、まず自然と、つまり詠もうとしている季題と、
同じ目線に立たねばならない。
幸い、熱中症で倒れる方は誰もおらず、この日の句会は無事終了した。
私は、おまけ程度に先生から一句特選を頂いたが、別の選者からはからっきし。
全体的に不出来であった。
句会の後に、何名かで喫茶店へ移動した。
俳句談義の中で、先生が「蛇」の句を作る為に、
実際に蛇を飼いながら句作していた話を聞いた。
これもまた、自然と、その季題と同じ目線に立つ、と言う事だろう。
冷珈琲のストローを弄びつつ、頭の中で、
今日詠んだ自らの浅はかな句を、おさらいしていた。
【天候】
終日、猛暑日。
※18日記