1305声 生活の韻律

2011年07月28日

「なんと心地好い事」
てぇのは、ふと、自由律で俳句を詠んでみたときに思う。
私は普段、概ね定型、即ち五・七・五と言う規則に則って、句作している。
「有季定型」と言う事を、俳句の入門書でも、俳句の教室でも、
口を酸っぱくして説いている。
私もそれに、大いに賛成し、その韻律の美しさに感動している。
だからこそ、この世界のあまねく光を、闇を、俳句にして見たいと思った。

則る事も素晴らしいが、則らない事もまた素晴らしい、と思う。
私の高校時分の友人に、無遅刻無欠席で一学年を終えた者と、
遅刻欠席常習の者とがいた。
当然、所謂、「評価」は前者の方に分があるのだが、
生活の魅力は、断然、後者の方にある。

「何してたの」
と思わず聞いてしまったのは、彼が五限の授業が終わってから、
つまり、もう一日の授業が終わってから登校して来たから。
その時間に来ても、当然、出席扱いにならず欠席と言う事になる。
それならば、いっそ、欠席した方が得策。
と言う事は、高校生にもなれば、誰でも分かりそうな事である。

「寝坊して、公園でパンを食って、昼寝してから来た」
その自由律な生活スタイルに、聞いていて呆れてしまったが、
「平日の昼間、公園で昼寝」と言う未知の世界に、大きく心を動かされた。
高校生活を定型で生活していた私は、それから一寸、
定型をはみ出して見たりした。
しかし、流石に昼寝の彼の様には行かなかった。

彼の見たであろう、平日の午後二時の、人気の無い公園の、風のきらめき。
教室の窓の景ではなく、たまに、そんな世界に足を踏み入れたって、良いじゃないか。
昼寝の彼だって、一緒に高校を卒業できた。
ふと彼を思いだして、もし彼が俳人だったら、自由律で詠んでいるだろうなと、思った。

【気候】
朝より曇りがちなる晴れ。
夕方より雨、夜半には上がる。