「なんと心地好い事」
てぇのは、ふと、自由律で俳句を詠んでみたときに思う。
私は普段、概ね定型、即ち五・七・五と言う規則に則って、句作している。
「有季定型」と言う事を、俳句の入門書でも、俳句の教室でも、
口を酸っぱくして説いている。
私もそれに、大いに賛成し、その韻律の美しさに感動している。
だからこそ、この世界のあまねく光を、闇を、俳句にして見たいと思った。
則る事も素晴らしいが、則らない事もまた素晴らしい、と思う。
私の高校時分の友人に、無遅刻無欠席で一学年を終えた者と、
遅刻欠席常習の者とがいた。
当然、所謂、「評価」は前者の方に分があるのだが、
生活の魅力は、断然、後者の方にある。
「何してたの」
と思わず聞いてしまったのは、彼が五限の授業が終わってから、
つまり、もう一日の授業が終わってから登校して来たから。
その時間に来ても、当然、出席扱いにならず欠席と言う事になる。
それならば、いっそ、欠席した方が得策。
と言う事は、高校生にもなれば、誰でも分かりそうな事である。
「寝坊して、公園でパンを食って、昼寝してから来た」
その自由律な生活スタイルに、聞いていて呆れてしまったが、
「平日の昼間、公園で昼寝」と言う未知の世界に、大きく心を動かされた。
高校生活を定型で生活していた私は、それから一寸、
定型をはみ出して見たりした。
しかし、流石に昼寝の彼の様には行かなかった。
彼の見たであろう、平日の午後二時の、人気の無い公園の、風のきらめき。
教室の窓の景ではなく、たまに、そんな世界に足を踏み入れたって、良いじゃないか。
昼寝の彼だって、一緒に高校を卒業できた。
ふと彼を思いだして、もし彼が俳人だったら、自由律で詠んでいるだろうなと、思った。
【気候】
朝より曇りがちなる晴れ。
夕方より雨、夜半には上がる。