1315声 現代の粋

2011年08月07日

最後のチケットを切り終えると、会場から、早くも笑い声。
どうやら、前座さんが登場し、会場を沸かせている模様。
急いで、集計を済ませ、ホール脇からこそこそと自分の席へ潜り込んだ。

昨日、前橋テルサホールで、「第三回若手落語家選手権」が開催された。
出演は、古今亭菊六さん、三遊亭時松さん、三笑亭夢吉さん、
立川志の春さん、三遊亭鳳笑さんの五名。
観覧客からの投票でグランプリが決定すると言う、
観覧客参加型のホール寄席なのである。

接戦かつ激戦の結果、優勝は古今亭菊六さん。
準優勝は三笑亭夢吉さんと、相成った。
全員二つ目さんだが、恐るべき才能の煌めきを感じさせられた。
二つ目さん、と言うと、およそ三十代前後から三十代後半の方が多い。
ほぼ、自分と同世代。
しかしそこは、芸の道に生きる身。
その言葉、挙措のひとつひとつから、所謂人間的な「深み」を、体感させられた。

「心折れますよ」
その言葉が印象残っている。
「高座にいると、お客さんが良く見える。寝てるとか欠伸したとか、頭を掻いたとか、
そんな些細な事で、はじめのうちは、心折れる。五年、いや十年はかかるでしょうな、
まず心が折れなくなるまでに」
ビールジョッキを握りながら、その落語家さんはふと、真剣な顔になって、話してくれた。
その後は、ジョッキを飲み干して、清々しく破顔一笑。
さらりと言えるところが、粋だよな。

【天候】
日中、晴れて真夏日。
夕立が夜半まで降り続いた。