1326声 夕菅俳句合宿二日目

2011年08月18日

寝ぼけ眼でハンドルを握っていた。
朝靄の湖畔には、新涼と呼べる、空気の清々しさがあった。
「一睡もできなかった」と、充血の涙目をこすっている参加者もあったが、
予定にあるように、湖畔に咲く夕菅を見に行く。

車を駐車場に停め、朝の空気を胸一杯に吸い込んで、歩く。
花野には、淡い青空の下、朝日に輝く夕菅の花が咲き競っていた。
木道を歩きながら、句帳片手に吟行。
花野は、蜻蛉、邯鄲、朝露や、秋の山、空、雲、風、など季題の宝庫であった。
小一時間吟行し、ホテルに戻り、朝食後に句会。
朝食の際、隣のテーブルに座っていたのは、
私たちの一向とは別の、俳句仲間である女性。
彼女は遊びらしいが、俳句をやる人間同士、遊び行く先の趣向も似て来るのだろか。
その後、ホテルをチェックアウトし、下山。

今度は赤城山の麓である渋川市内で、滝を見ながら、周辺の沢を吟行。
残念ながら、先の地震の影響だろうか、落石甚だしく、
肝心の滝の近くまでは行けなかった。
榛名湖畔とは違い、蝉時雨のとても暑い日和である。
皆、だらだらと汗を流しながら、歩を進めて行く。
その後、先生宅へ行き、直ぐ句会。
やはり句も、榛名湖畔の新涼を懐かしむものが多く見られた。

句会が終われば、直ぐ次の句会の為に句作する、と言う形式。
先生宅の庭やら裏の野原やらを歩いて、吟行する者もあれば、
ソーダ水を飲みながら、扇風機の前で句作する者も有り、様々。
一睡も出来なかった仲間は、即行で作って横になって昼寝していた。
また句会が終わって、さて、次の句会で最後。
全て、句を出し切って、頭の中の全ての創造力が枯渇した所で、ようやく合宿終了。
もう、外は夕暮れ時になっていた。

東京から参加されている方は、列車の時間となり、慌ただしくさよなら。
いつもこの合宿では、群馬以外の俳人の方と会えるので、新鮮である。
富山の薬売りを待つ気持ち、ではないが、土地土地の俳句事情、
取り分け、東京の俳句事情の事を聞くのは、楽しい。
青山墓地や明治神宮が、いつもの主な吟行場所。
と言う話を聞くだけで、都会的な雰囲気に憧れてしまう。
若い俳人が多く、句会の参加者も断トツに多いのも、東京ならでは。
「おいでよ」
そう言ってもらうが、無精をして、まだ一度も東京の句会に行かれないでいる。

帰路。
実り始めている稲穂の揺れる、夕闇の里山風景の中、遠く見える街の方から、
小さな花火が開くのが見えた。

【天候】
終日、酷暑。