1339声 台風の香り

2011年08月31日

機嫌を伺いつつ、窓を開けたり閉めたり。
時に荒れたかと思えば、途端に静かになったり、
情緒不安定な雲行きである、台風というやつは。

毎年の事。
夏と秋の空気の入れ替えをしに、台風がやって来て、ひと暴れして行く。
台風一過の澄んだ青空は、まさに「秋気澄む」と言った印象。
毎年、台風が去った後に、自宅裏の田圃から榛名山を臨む夕景は、心に残る風景である。
その後、一晩明ければ、空に収まりきれないほどの、鰯雲が群れをなしてやって来る。

既に、台風12号が列島各地に及ぼしている影響が報道され始めているが、
内心、わくわくする気持ちがある。
それは、子供心を惹き付ける、台風のあの世紀末的雰囲気に、
ではなく、俳句が作れるかも、と言う感覚である。

言わずもがな、台風は秋の季題であるが、面白い季題だと思う。
台風の持つ特性を、作品に活かし得た例と言うと、
俳句ではなく、真っ先にあの映画を思い浮かべる。
相米慎二監督の「台風クラブ」である。
台風と少年少女とが、混然一体となって吹き荒れる、刺激的な内容であった。
今でも、映画を観終えた後、実質的に胸の痛む思いがした事を覚えている。

私の文芸における趣向は、青春性、あるいは微弱でもその香りのするものに、
惹かれる傾向がある。
また、そう言った作品は、普遍的な良作が多いと感じている。
そう言った意味で、この「台風」と言う季題は面白いと思った。
さて、俳句と言う短詩型で、それを上手く表現でき得るだろうか。
暴風雨の窓では、親指の爪程の蛾が一匹、網戸にしがみ付いて雨宿りしている。

【天候】
朝より曇り。
夜には台風12号の影響で、雨風強し。