1344声 車輪との相性

2011年09月05日

「ほっ」
と、胸を撫で下ろしたのは、差し出された伝票の金額が、
想像の範疇を出ていなかったから。
それでも、寂しい懐から出すのは、とても辛い額。
酒場のレジでは、いつもこの思いを味わっているが、今回は酒場ではなく、
カーディーラー、なのである。

最近、車で頻繁に失敗をしている。
自転車を含めれば、電柱に激突して怪我をしたり、
先月は、出掛けた先でバッテリーが上がってしまった。
そして今回は、左のドアミラーを割ってしまったのである。

そこは、見知らぬ土地の、駅前通りから続く、細い路地だった。
雨が降っており、待ち合わせの時間もあったので、気が急いていた。
すれ違う対向車の強いライトの輝きが、一瞬視界を奪って行く。
すれ違って、走る。
すれ違って、走る。
すれ違って、「ゴチッ」。
何かを裂くような音。
その方向へ視線を移すと、街の灯を反射させる左のドアミラーが見えた。
屈折しているその光の角度は、明らかに、割れていると思われた。
バックミラーで確認すると、過ぎ去る夜景には、車道へ出しゃばった、
電柱の影が一本見えた。

車を停めて確認すると、やはり、ミラーの鏡面に亀裂が入っており、破損していた。
運転席へ戻って、ボタンを押して見ると、電動格納装置は作動しているので、
故障はしていない模様。
一瞬にして気を腐らせて帰り、一夜明けた今日、車を購入したカーディーラへ行って来た。

整備士の方によると、部品交換で修復は可能との事。
直ぐ様、部品の取り寄せだとか、金額の支払いだとか、
諸手続きを済ませ、店舗を後にした。
車輪の付いた乗り物とは、今年、ことに相性が悪い。
つまりは、「碌な事がない」のである。
来年の初詣では、交通安全のお守りを買おうと思っている。

【天候】
台風は去ったが、依然としてその余波は残っている。
終日、断続的な雨。