炎天。
と言う程でもないが、それにしても暑い。
そのたくましい日差しの下で、靴と車を洗った。
それで、午前中が終了した。
30℃を越える残暑とは言え、庭の芝生に足を踏み入れると、
バッタなどが吃驚して逃げてゆく。
一足進めば、バッタも一足飛ぶので、どんどん追いかけてしまう。
稲刈りの進めば進む蝗かな (鷹羽狩行)
と言う句があるが、作者の「俳句一念」(角川書店)と言うエッセイには、
「この一句の入選がなければ、今日まで俳句をつづけていなかっただろう。
十五歳の時の文字通り処女作」
とある。
作者の本名時代、昭和二十一年の作品である。
平明な写生句だが、こう言う句が「残る句」だと思う。
精霊飛蝗や精霊蜻蛉が飛び交う中、ホースから水を出して、車を洗う。
車には頓着しない性質なので、洗車機に入れても良いのだが、
運動がてら、手で洗うことにした。
泡の付いたスポンジで、車体を擦ってゆく。
次第にその作業に没頭してゆき、途中からはほとんど無心になって手を動かしている。
休日には決まってパチンコに出掛ける。
と言う人から聞いたのだが、その人は、玉が出ても出なくとも、
左程問題ではないのだと言う。
では、何の為にお金を払ってパチンコ台の前に座るのか。
それは、「無心」になるため。
パチンコ台の前で流れゆく玉を見ている間は、思考が何も作動していない、
無心の状態になれるらしい。
その時間を得る事で、とても気分転換できると言うのである。
汗だくで仕上げのワックスをかけ終わった頃には、もう熱中症の一歩手前。
シャワーを浴びてから、コーラを飲んで一息つく。
無心で作業した結果、気分転換どころか暑気にあたって、気分が悪い。
おまけに、疲労困憊で体も動かず、午後の分の体力まで使いこんでしまったよう。
ひと眠りしたら、麦酒でも飲もうと思う。
【天候】
終日、秋晴れ。
気温30℃を越える。