1353声 句風と工夫

2011年09月14日

9月も、もう半ばだと言うのに、日中から寝る寸前まで、
まだ冷房の厄介になっている。
「冷房がなきゃ暮らせねぇなんてのは、駄目なんだよ」
私の俳句の先生が、良く言っていた。
子持山の麓にある先生の自宅は、なるほど、冷房など無く扇風機で夏を過ごしている。
ひと夏を冷房と共に過ごしてきた私は、暑さをやり過ごす工夫も忘れて、
残暑になっても、安直に冷房のリモコンに手を伸ばしている。
その差が、句風に表れるのは当然かも知れぬ。
少しくらい暑くても、窓を開け、吹き来る秋の夜風と虫の音で、涼を感じることにしよう。
そうすれば、いくらかでも、マシな俳句が詠めるかもしれない。

先日、電話があった。
桐生で懇意させて頂いている、銭湯の親父さんから、である。
先日発刊した「群馬伝統銭湯地図」を、桐生地域の関係諸団体に配布して下さる。
と言う旨だったので、翌日には、数百部郵送しておいた。
各銭湯全てに配布はさせて頂いたが、設置場所や配布地域などは、
まだことごとく手薄である。
とても計画性の無い事業だが、計画を綿密に練っていたら、おそらく発刊していないだろう。
それでも、銭湯で手にした人が、別の地域の銭湯へ足を運ぶきっかけとなれば、
と言う、当初から考えていた本筋は、今のところ曲がっていない。

「我慢して入ってみろ、騙されたと思って」
その言葉をかけてくれたのは、見知らぬおやっさんである。
街の銭湯に行き始めた頃の私は、あの熱い湯に、どうしても涼しい顔して浸かれなかった。
「熱い熱い」と、苦悶表情を浮かべ、湯船の中で握り拳を作って中腰になるのが精一杯。
蛇口まで逃げて行き、水で埋めて、部分的に温度の低くなった湯に浸かっていた。
そんな折にこの言葉を受け、清水の舞台から、と言うほどでもないが、「えいっ」と、
やけっぱちになって肩まで浸かってみた。
案の定、ものの数十秒でギブアップ、逃げるように浴室から出て、体を拭いた。

すると、どうであろう。
風も心地好く、汗も直ぐに引いて、肌触りもよろしい。
温い湯に長時間浸かるよりも、熱い湯に短時間浸かったほうが、爽快な場合がある。
特に夏場は、と言う事を身を持って体感できた。
これもまた、暑い時期を涼しく過ごす、工夫である。
今日の様な残暑の夜は、銭湯の熱い湯に、サッと入って出たら、さぞや爽快だろうと思う。
その方が、蒸し暑い様な私の句風も、いくらか爽快になるやも知れぬ。

【天候】
終日、秋晴れ。
残暑厳しい日が続く。