1357声 ねずみのハイキング

2011年09月18日

確実は、町や里山、各地で運動会が開催されていた。
小学校には万国旗が張りめぐらされ、大勢の人たちで活気づいていた。
ひとつの小学校の裏を通った際、露店のかき氷屋が出ていて、
子供たちで盛況だった。
9月半ばとは言え、まだまだ、かき氷がよく売れる。

そんなどこか懐かしい運動会の光景を、頬杖ついて思い浮かべている私は、部屋の中。
窓の向こうには、青空と千切れ雲。
絶好の行楽日和だが、不健康にも終日、家の中に居る。
徐々に紅葉が始まって来ている山の方へ、行きたい。
例えば、JR吾妻線にでも揺られて、吾妻渓谷や川原湯温泉など、美しい時期だろう。

そんな旅情を思う浮かべていると、机の下に置いてある、古びた紙包が目に入った。
表紙には「ねずみのハイキング」と、黒マジックで書かれている。
紙包みの中身は、古い絵本で、随分と昔の事なので、どう言った経緯で、
この絵本を手にしたかは定かでないが、兎も角も、自分で買った品である。
一回くらい実演したか、どうか、それも定かではない。
ハイキングに行かれないので、せめて、ねずみのハイキングの物語でも読もう。

ざっと読んで、作品のこうである。
ハイキング日和に出掛けたネズミは、天敵であるネコに遭遇してしまう。
ネコ追いかけられるネズミは、道中でブルドッグに出遭い、
今度はネコが、そのブルドッグに追いかけられる羽目に。
逃げて行くネコの前にヒョウが現れ、ブルドッグがヒョウに追いかけられる。
ヒョウがブルドッグを追いかけていると、向こうの山が動き出す。
それは山でなく、ゾウだった。
これにはヒョウも参って、一目散に逃げ出してしまう。
なんとか、重なる偶然によって難を逃れたネズミは、ゾウの背中で一息つく。
すると、寝ていたゾウはネズミの走る音で、ろくろく眠れなくなってしまう。
そこで、ゾウの鼻先まで降りて来たネズミが、言うのである。
「えっへん、わがはいは、動物の王さまであるぞ」
そして次の日、ゾウの鼻先に乗っかって、大威張りで、ネズミは望み通りに、
ハイキングに出掛ける事ができました。
チャンチャン。

紙芝居の裏の解説に、「弱肉強食の人間社会を風刺し、」だとか、
「官憲に抵抗する力をなに一つ持たなかった自由主義者が、」なんて書いているので、
大人は、ネズミが象徴するもの、を考えてしまうであろう。
ネズミがずる賢い気が、しないでもない。
道中で、ネコとブルドッグとヒョウも、この日のハイキングに誘ってあげて欲しい。
そう思った。

【天候】
秋晴れで、残暑厳しい一日。