1362声 漆紅葉

2011年09月23日

ぴったり、40分の旅。
新前橋駅から中之条駅まで、JR吾妻線に揺られる時間が、である。

秋分の日の今日は、中之条町に行く用事がある。
街中にある「さとり」と言う場所で、ものづくりの作家さんたちが集まって、
いま展示会を開催している。
その場所で今宵、交流会が催されるので、そこに出掛けようと思っている。

秋の日に透かして眺めている。
直径は、親指と中指を回して、少し余るくらい。
材質が杉なだけに、とても軽く、軽いながら漆が塗ってあるので強度が出ている。
若い漆だけに、朱が深く暗い。
使いこむごとに、暗さが抜け、鮮烈な朱色になってゆくのだろう。
このぐい飲みで、今日は一献やるつもりなのである。

作者は吉澤さん。
吉澤さんと知己を得てから、群馬には素晴らしい「クラフトマン」たちが、
活躍している事を知った。
木の温かみが、そのまま乗り移ったかのような、温厚な人柄の方が多く、
折に触れ、美味しい食や酒を御馳走になって来た。
そう言えば今宵も、何とかと言う、珍しい酒があるようだが、
麦酒以外の酒に疎いので、名前を失念した。

着くまでに、電車に揺られる時間は40分。
駅から歩く時間は、20分。
小一時間の、のんびりとした旅である。
稜線清かなる赤城山の麓をかすめて、薄紅葉の照る吾妻渓谷を行く。
そんな風光明媚な景色の車窓において、
この漆紅葉のような色のぐい飲みで、缶麦酒をちびりちびりと一杯やる。
そして、ひとつ下手な俳句でもひねってみるつもりである。

【天候】
終日、穏やかな秋晴れ