ぴったり、40分の旅。
新前橋駅から中之条駅まで、JR吾妻線に揺られる時間が、である。
秋分の日の今日は、中之条町に行く用事がある。
街中にある「さとり」と言う場所で、ものづくりの作家さんたちが集まって、
いま展示会を開催している。
その場所で今宵、交流会が催されるので、そこに出掛けようと思っている。
秋の日に透かして眺めている。
直径は、親指と中指を回して、少し余るくらい。
材質が杉なだけに、とても軽く、軽いながら漆が塗ってあるので強度が出ている。
若い漆だけに、朱が深く暗い。
使いこむごとに、暗さが抜け、鮮烈な朱色になってゆくのだろう。
このぐい飲みで、今日は一献やるつもりなのである。
作者は吉澤さん。
吉澤さんと知己を得てから、群馬には素晴らしい「クラフトマン」たちが、
活躍している事を知った。
木の温かみが、そのまま乗り移ったかのような、温厚な人柄の方が多く、
折に触れ、美味しい食や酒を御馳走になって来た。
そう言えば今宵も、何とかと言う、珍しい酒があるようだが、
麦酒以外の酒に疎いので、名前を失念した。
着くまでに、電車に揺られる時間は40分。
駅から歩く時間は、20分。
小一時間の、のんびりとした旅である。
稜線清かなる赤城山の麓をかすめて、薄紅葉の照る吾妻渓谷を行く。
そんな風光明媚な景色の車窓において、
この漆紅葉のような色のぐい飲みで、缶麦酒をちびりちびりと一杯やる。
そして、ひとつ下手な俳句でもひねってみるつもりである。
【天候】
終日、穏やかな秋晴れ