1364声 精霊蜻蛉

2011年09月25日

ようやく。
本当に、ようやく行けた。
墓参りに、である。

記憶も朧なくらい、墓参りには行っていなかった。
学生時分の時は、部活だバイトだと、理由を作って、
社会人になってからは、遊びにかまけて、長い間、足が遠のいていた。
それが、今年の秋の彼岸に急遽思い立ち、
生花と線香を携えて、墓参りへ出掛けた。

場所は、群馬県内の霊園。
自宅からもあまり離れてはいないので、話は早い。
園内の区画ごとに割り振られた無数の墓の中のひとつ、と言う形式。
車を区画の往来の脇へ着け、そこから歩いて行けばよい。

区画の場所は親に聞いて言ったのだが、何せ、同じ様な墓が何百何千とある。
迷った。
墓石を覗きこみながら、霊園を徘徊する。
と言う、怪しい人物になってしまったが、不思議な事に、
15分と経たずに見つけてしまった。
子供時分の記憶が残っていたのであろうが、「導かれた」と言う心持もすこし。

墓を洗って、花を活けて、線香を供えた。
線香の束にライターで火をつけた際、以外にも炎のように燃えてしまい、
あたふたと振ったり、砂利へ置いたり、消すのに大変苦労してしまった。
ひとしきり拝んで、帰路へ目を映すと、精霊蜻蛉が一匹、西日の風に乗っていた。
どこかの墓石に、止まったのかどうか。
見届ける前に、歩を進めた。

【天候】
終日、穏やかな秋晴れ。