1367声 澄んでる季節

2011年09月28日

定例としている句会のひとつは、いつも前橋公園で吟行している。
季節の花々に集まる虫たち、木立に舞い来る鳥たち。
園内は句材が豊富である。

10月を目前とする今時期だが、句会に参加する女性陣は、
ほとんど全員日傘の下。
陽射しこそ強いが、風は爽やかで天を仰げば、
焦点がどこまでも吸い込まれて行きそう。
そんな深い青が広がっている。

園内の時計塔の脇には、数本の大樹があって、
どれも大きな緑陰を生んでいる。
右の緑陰には、句作に励んでいると思われる、句帖とペン片手の、日傘の一団。
左の緑陰には、ピクニックに来たのであろう、手作り弁当を食べている、若き男女。
そこ光景を池の脇から眺めていて、どちらに「詩」があるかと考えれば。
やはり、ピクニックに一票。

「青」以外に何もなく、焦点のどこまでも吸い込まれて行きそうな空を詠んだ句。
そして、雨に降られ、風に吹かれるたびに「赤」をすり減らして行く彼岸花を詠んだ句。
自分の投句した句は、その二句が多くの選に入っていたようだった。
秋と言う季節は、特に「色」が印象的な季節であると、実感した。
夏の様に鮮やかではなく、冬の様に枯れもいない。
言うなれば、「澄んで」いる。

句会が終わり、午後三時過ぎの前橋公園を通りかかったら、池の脇の緑陰。
先程の男女は、寄り添いあって、昼寝をしているようだった。

【天候】
爽やかな、秋晴れ。