高崎線へ乗車して、桶川駅へ向かう。
「桶川」、と言う土地に対して、全くと言っていいほど知識を持っていない。
鴻巣駅の先で大宮駅の手前と言う位置関係くらいは、
高崎線を利用しているので、知っている。
桶川駅西口を出て、「さいたま文学館」を目指す。
駅の脇に「西口公園」と言う都市型の公園があり、そこに併設されている。
スケボーの練習をしている姉さんや、家族で自転車の練習をしている子供たちなど、
憩うている人たちも、いささか都会的な印象を受ける。
そして、「さいたま文学館」もまた、そう言う印象の文化施設ある。
「武蔵野を詠む」。
と言う企画展を見に来た旨を受付に伝え、展示室を案内してもらう。
昭和初期、高濱虚子を中心とする俳人たちが、
「武蔵野探勝」と言う吟行会を開催していた。
この内、埼玉県内で開催された吟行会と共に、川島奇北や岡安迷子など、
土地にゆかりのある俳人に関する資料が展示されている。
当時の資料などを観て楽しんだが、戦前の武蔵野の広大な自然には驚いた。
現代で武蔵野探勝をやったら、と思うと、やはり俳句も変わって来て当然と思う。
館内には、他にもゆかりの作家が常設展示されており、俳句で言うと、
「加藤楸邨」と「長谷川かな女」を観る事が出来る。
図書館で、ひとしきり本を読んでいると、日も暮れてきたので、館を辞した。
次の目的地へと、そこはかとなく文学的な気持で、街を行く。
目的地は、駅の反対側にある、「梅乃湯」と言う銭湯。
夕暮時の銭湯は、とても賑わっており、話を聞いたり写真を撮ったりなどせず、
温まって暖簾を出た。
シンプルな銭湯だが、大分劣化の進んだペンキ絵が、風格を醸し出していた。
列車を待つ間、駅前の焼き物屋で、瓶麦酒と焼き鳥をつまむ。
ほろ酔いでうたた寝をしてしまい、終点前橋駅まで帰ると、雨。
寒ざむしく濡れた路面を千代田町まで歩く。
そこからはもう、ほろ酔いでは済まない。
飲んでいる内に、いつのまにか、雨は上がったようだった。
【天候】
曇りのち雨。