1405声 武蔵野探勝

2011年11月05日

高崎線へ乗車して、桶川駅へ向かう。
「桶川」、と言う土地に対して、全くと言っていいほど知識を持っていない。
鴻巣駅の先で大宮駅の手前と言う位置関係くらいは、
高崎線を利用しているので、知っている。

桶川駅西口を出て、「さいたま文学館」を目指す。
駅の脇に「西口公園」と言う都市型の公園があり、そこに併設されている。
スケボーの練習をしている姉さんや、家族で自転車の練習をしている子供たちなど、
憩うている人たちも、いささか都会的な印象を受ける。
そして、「さいたま文学館」もまた、そう言う印象の文化施設ある。

「武蔵野を詠む」。
と言う企画展を見に来た旨を受付に伝え、展示室を案内してもらう。
昭和初期、高濱虚子を中心とする俳人たちが、
「武蔵野探勝」と言う吟行会を開催していた。
この内、埼玉県内で開催された吟行会と共に、川島奇北や岡安迷子など、
土地にゆかりのある俳人に関する資料が展示されている。
当時の資料などを観て楽しんだが、戦前の武蔵野の広大な自然には驚いた。
現代で武蔵野探勝をやったら、と思うと、やはり俳句も変わって来て当然と思う。
館内には、他にもゆかりの作家が常設展示されており、俳句で言うと、
「加藤楸邨」と「長谷川かな女」を観る事が出来る。
図書館で、ひとしきり本を読んでいると、日も暮れてきたので、館を辞した。
次の目的地へと、そこはかとなく文学的な気持で、街を行く。

目的地は、駅の反対側にある、「梅乃湯」と言う銭湯。
夕暮時の銭湯は、とても賑わっており、話を聞いたり写真を撮ったりなどせず、
温まって暖簾を出た。
シンプルな銭湯だが、大分劣化の進んだペンキ絵が、風格を醸し出していた。
列車を待つ間、駅前の焼き物屋で、瓶麦酒と焼き鳥をつまむ。
ほろ酔いでうたた寝をしてしまい、終点前橋駅まで帰ると、雨。
寒ざむしく濡れた路面を千代田町まで歩く。
そこからはもう、ほろ酔いでは済まない。
飲んでいる内に、いつのまにか、雨は上がったようだった。

【天候】
曇りのち雨。