1471声 辰之助の年

2012年01月11日

明日の朝が、この冬一番の冷え込みらしい。
その冷え込みが、夜半の今にしてもう始まっており、
部屋の中に居て息が白い。
新春ロードショーの「釣りバカ日誌」をテレビで見ていたら、
すっかり、深い時間になってしまった。

辰年である、今年は。
なので、石橋辰之助の句を読もうと思う。
「読もう」っても、私は石橋辰之助の句集を一冊も持っていない。
書店に行って注文しても、買えないのが、古い句集である。
石橋辰之助は昭和23年に亡くなっている作家なので、
当然、句集は古本で探すしかない。

句集を一冊も読んで居ないのに書き出すのは無謀だが、
先日、歳時記をめくっていたら、こんな例句に出合った。

桑枯れて日毎に尖る妙義かな   石橋辰之助

上州に住みなしている俳人のような視点で、冬に移り行く妙義を捉えている。
辰之助俳句と言えば、言わずものがな、浮かぶのは「山岳俳句」である。

朝焼の雲海尾根を溢れ落つ

霧深き積石(ケルン)に触るるさびしさよ

ここにあるのは、「山歩き」の視点でなく、「山登り」の視点。
登山家でもあった石橋辰之助の句が、「山岳俳句」と言われるゆえんである。
しかし、この妙義の句を見つけて、彼の山岳俳句の奥行きが、とても興味深くなった。
のちの新興俳句運動時代の句も合わせて、今年は是非読みたい作家のひとりである。

【天候】
終日、快晴。
午後から風強く、冷え込み甚だし。