朝、窓を開けると、日差しがされまでよりも、そこはかとなく白く感じた。
今日から立春なので、やはり季節の境目なのであろう。
身支度を済ませ、昼の手前頃、近所のバス停へ出掛けた。
バスを降りたのは、前橋市街。
まず、商店街にあるレストラン「ポンチ」まで、広瀬川沿いを歩いた。
一人吟行、と自らのこの散歩に銘打って出掛けたので、句帖片手の散策である。
特に締め切りも無いので、思い付いただけ詠めばよい、
と気楽な気持ちが心地好かった。
ポンチに着いて、早速、カツカレーと瓶麦酒を注文した。
立春を口実にして、昼から麦酒を飲んだ。
食べ終えてから、中央前橋駅から上毛電鉄に乗車し、
終着の西桐生駅まで行こうと思い付いた。
ブリキの玩具のような列車に揺られ、まだ薄っすらと雪をかぶった赤城山を、
ぐるりと回って桐生の街へ着いた。
この列車は自転車と一緒に乗れるので、高校生が車両内に自転車を駐輪させている姿は、
風景と相まって牧歌的な雰囲気だった。
西桐生駅から、JR桐生駅は程近く、乗り換えて両毛線で高崎駅を目指した。
それまでの車窓風景と一変して、今度は小さな都市を結んでいく。
春も浅いので、中々、俳句の素材が難しかったが、この散策自体を楽しんだ。
高崎駅へ着くと、改札口の雑踏の埃っぽさに、都会的な匂いを感じた。
時間も早かったので、駅前の適当な居酒屋で少し飲んでから、バスに乗り家路へついた。
帰る頃には月が出ており、少し手前のバス停で降りて、
春の夜空を眺めながら、ふらふら歩いて帰った。
結果、句帖には毛虫の這ったような文字が、20個並んでいた。
【天候】
終日、穏やかな快晴。