1519声 食堂のテレビ

2012年02月28日

行きつけの食堂には、テレビが一つある。
見ながらラーメンを啜っている人もあれば、テレビなど全く気にせず、
新聞を読みながらカツ丼を食べている人もいる。

時刻は十二時半を回り、その時店に居る大方の人が食事を終え、
まったりと時間を過していた。
テレビはニュース番組になっている。
アナウンサーは無機質な声で淡々と、悲しいニュースを伝えていた。
ふと、一番の席に座っていた、大工の棟梁のようなおやっさんが、太い声で言った。
「暗れぇニュースばっかりだな」

誰とはなしに言っているのだが、誰とはなしに、共感した。
ような気がした。
そして、「すっ」と店中の空気がおやっさんの言葉に集まってっゆくような、
そこはかとない一体感が、一瞬、生まれて消えた。
テレビのアナウンサーはもう、次のニュースを読んでいた。

【天候】
曇りのち晴れ。
冷え込み強し。