「高崎市の思い出の場所を紹介」
そう言う事を受けて、一昨日メールで送った文章がある。
いま読み返してみて、なんだか、この「めっかった群馬」っぽい印象がしたので、
ここに載せておこうと思う。
長いので、二回に分ける。
「桜山」
そう呼ばれている場所があった。
過去形なのは、現在、その場所はもう無いからである。
文字通り、そこには桜があった。
しかし、「山」ではなかった。
鬱蒼と木々が生い茂る、雑木林だった。
だれがいつ、どんな由来が合ってこの場所を「さくらやま」と呼んだかは知らない。
子供時分は夜になるとこの森が怖く、近くを通らないように回り道をして帰った。
近所の子供たちの遊び場だったが、近隣からささやかれるのは悪い噂ばかりだった。
昼間でも暗く、怪しげな雰囲気漂うこの場所に遊びに行く事を、大人たちはみな嫌った。
しかし、子供たちが当然、好奇心を抑制する事などできるはずも無く、
私も友達と一緒に朝方カブトムシを捕りに行ったり、夜中に肝試しに行ったりした。
確かに、気味悪かった。
時期になると見かける、野良猫の死骸。
戦時中は防空壕だったらしい穴に、不法投棄か当時の生活用品か、ともかくゴミが沢山あった。
近隣からうとまれていたこの桜山が、ある年、忽然と姿を消した。
高崎市と渋川市を結ぶ、通称「新高渋線」が出来て、木を全て切り倒してしまったのである
それからは誰も、桜山の話などする人も無く、私自身も記憶の中に紛れて忘れてしまった。
【天候】
終日、しとしと雨。