昨夜の、と言うか今朝がたの深酒から一夜明け。
幸い、二日酔いがそれほどまでに深刻でなかった。
寝不足ではあるが、さっさと用意して出掛けねばならぬ。
耳の奥にまで昨夜の喧騒が残りつつも、車を走させた。
素竹邸へ到着すると、もうさくらさんが達筆な字をすらすら書いていた。
取り合えず、見よう見まねで、素竹さんに刷ってもらった墨に筆をつける。
思えば、墨に筆をつけるのなんて、二十年ぶりくらいではなかろうかと思う。
つまり、小学生時分からまともに筆で文字を書いた事が無い。
さらさら、すらすらと、色紙に句を書いてさくらさんは颯爽と帰って行った。
その横に、自分の句を書かなくてはならない。
正直、下手くそで笑ってしまうくらいの腕なので、
心血を注いで一字一字書く他は手が無い。
人に進呈する物なので、自分にできる事はそれが最善であると、
開き直って酔っ払った蛇のような字を量産して行く。
書き終えて辞する頃には夕闇が迫っていた。
当然ながら素竹さんは、生きている様になめらかに筆で動かせ、
色紙に三句目を書いて、すばやく書き終える。
小休憩から、しばらく俳句の話をしていたので、一日仕事になってしまった。
午前中には弱かった雨足が、だいぶ逞しく成長していた。
【天候】
終日、雨降り。