1540声 2012年春分の日の吟行漫筆

2012年03月21日

じゃあ、この場所に一時間後に集合。
そう言う話になって、みな、城址公園の方々へ散らばって行った。
豊かな日差しに、春めいている園内。
春休みの学生たちが、音楽に合わせてダンスを踊っていたり、
乳母車を押してゆく夫婦の足並みは、自然と揃ってゆく。

「さてどこへ」
辺りを見回したが、やはり、直ぐそこのベンチでワインを飲んでいる一団のところへ、
吸い寄せられてしまった。
素竹さんから紙コップになみなみと赤ワインを注いでもらって、
こぼさぬようにお濠の上へ登ってみた。

まだ蕾の膨らんでいぬ桜の下に腰を下ろして、お濠に溜まっている水を眺めていた。
幾時代を経て来たのか、深緑色にくすんだ水は、
そこはかとなくあやしくげな波を立てている。
しかしこれは、まぎれもなく「春の水」。
こんなあやしげな春の水の句もよかろうと思い、ちびりちびりとワインをやりつつ、
囀りの降りしきる中、俳句になるまで眺めていた。

二、三句作ってベンチまで戻ると、またなみなみとワインを注いでくれた。
仄かに赤い顔をしている素竹さんと、周辺に居たさくらさんと一緒に、
城址公園の方へ向かった。
城址公園で作ろうとしたが、その頃には酔いが回って来て、
ろくな句ができぬので、句帖をポケットにしまってぼんやり歩いていた。

【天候】
終日、快晴。