1574声 冷たいワイン 後編

2012年04月24日

では、引き続き。

大衆酒場で忙しく働くおばちゃんのぶっきらぼうと、居酒屋チェーンでかったるそうに働く、
バイトの姉ちゃんのぶっきらぼう。
このレストランの店員の所作から滲み出る冷たいぶっきらぼうは、そのどちらとも違う。
前者のぶっきらぼうは、干渉のないところが、むしろ客側にとってもありがたいくらいであるのに対し、
後者のぶっきらぼうは、こちらの心に干渉して来る。
つまり、不快感を感じるのである。

ひとしきり飲み終えて、店を出た。
無論、食事の味がどうのこうのと言う問題ではなく、後味がとても悪い。
会計時、レジでの冷たい対応が脳裏から離れなかった。
「飲み直そうか」
と言いかけ、行きつけの大衆酒場の名前を出そうと友人へ顔を向けた。
しかし、そこには意外にも満足そうな友人の顔。
少しさぐりを入れると、実際に満足しているような口ぶりだった。
人それぞれ趣向が違うものだと思い、そのまま店の前で別れ、
先程言いかけて名前を押しこんだ酒場へ、ふらふらと足を向けた。

【天候】
昨日と一転して、夏日。