1580声 振替休日

2012年04月30日

酔眼朦朧としつつ、上野駅の電光掲示板を見上げていた。
何分見ていても、やはり、電光掲示板には行き先と時刻が表示されず、
ただの黒い板になっているばかりだった。
つまりは、もう今日の上野以北へ行く電車の運行が、終了しているのである。
それでも、殊更、悔恨の念が湧いてこない。
むしろ、酔いも手伝って、心の隅にこの状況を楽しんでいる気持が芽生えていることを実感していた。
それは、明日が昭和の日の振替休日である事と、先程の句会の二次会、
三次会以降の酒席が楽しかった事。
そして、改札の向こうから吹きこんで来る、この心地好い春風に起因する。

一縷の希望を辿って上野まで来てしまった事は、いささか分が悪かったが、
この千鳥足ではむしろそれが良かったのかもしれない。
都心の繁華街で、田舎者の私が一夜を乗り切れる運を持ち合わせているかどうか、
不安なところである。
どうにかこうにか、どぎついネオンのサウナだかカプセルホテルだか、
ひとまず館内で寝れそうな施設のフロントらしきところに辿り着き、財布を開いた。
風呂に入ると、大分、先程の不安な気持ちも解消され、そのまま、
館内の地べたの一角に設置されている簡易ソファーに横になった。

そして翌日、つまりこれを書いているいま、高崎市の自宅に戻っているので、
ひとまず、無事に帰って来れたようである。

【天候】
終日、曇り。