1644声 風の匂い

2012年07月03日

帰宅して、午後七時を過ぎた頃であろうか。
ぽつりぽつりと雨が降り出した、すぐ本降りになり音を立てて降り始めた。
雨音の幽かなる隙間に、祭囃子が聞こえた。
もうそんな時期である。

今週末には前橋市の中心市街地で、七夕祭りがある。
私が学生時分の頃、丁度中間テストの終わる時期で、
夜には前橋の街中に繰り出す生徒が多かった。
それを危ぶんだ先生方が、毎年朝礼で生徒に口酸っぱく注意していた。

そうは言っても、高校生である。
夏休みの前哨戦とばかりに、心弾ませながら、七夕飾りの商店街を練り歩いた。

市中は物のにほいや夏の月 (凡兆)

あの頃の商店街を吹く生温い夜風には、掲句のような「匂い」があったように思う。
その点に於いて、風の通らぬ大型ショッピングセンターなどは、
少し趣向に乏しい気がする。
しかし、現代の学生諸氏のみならず私たちにとっては、商店街でなく、
風の通らぬ方での買い物に、どうも馴染んでしまっているようである。

【天候】
朝より曇り、のち降ったり止んだり。