1653声 悪筆

2012年07月12日

句会などへ行くと、他人の文具に目が行くことが、しばしばある。
それは殊に筆記具に多く、やはり、
自分の悪筆への劣等感が起因しているのだろうと思う。
つまり、「ペンが悪いから字が下手なのだ」と言う、
言い訳じみたことから派生した筆記具への興味である。

定期的に参加している句会の一つを見ると、
上手な字を書く人は万年筆を使っている。
そうか、とばかりに万年筆を持つようにしたが、字はおろか、
中々、身につかない。

身につかない、と言うのは、気に入った万年筆や、
ちょっとしたボールペンなど持ち歩くようにしていた時期もあるのだが、
これを直ぐになくしてしまう。
それは、十中八九酔っ払っている時なのだが、春先。
花見句会など多かった時期は、ひどかった。
「すみません、どこそこの席にペンの忘れものは…」
などと、翌日に昨晩訪れた酒場に、電話をかけることもしばしばあった。

そんなことがあったので、いまでは、紛失した場合、
別段探さなくても困らないくらいのペンを使っている。
しかし、他人が万年筆ですらりすらりと書いている姿を見ると、
なんだか、書いている句までよく見えてきて、これは相応のペンを買はねば。
その思いがみるみる増幅し、書店などの文具売り場に足が伸びてしまう。

【天候】
曇りのち雨。