1711声 焦燥と駘蕩

2012年09月11日

遠くで雷が鳴っている。
虫の音を雨の音が消してしまった。

今週を出れば、敬老の日、彼岸ときて、秋分の日である。
俳人ならば、19日が子規忌なので、常ならぬ心持がしているであろう。
そして仲秋の名月がきて、いよいよ秋もたけてくる。
そんな事を考えつつ、夜毎、得体の知れぬ焦燥に駆られているが、
茫然としつつ日をおくっている。

欠して月ほめて居る隣かな  几董

蕪村に師事した、高井几董の句である。
「いやぁ、まことの名月」とかなんとか言う声の方へ視線を移すと、
隣に座って夜空を見上げているツレが、欠伸をしながら月を褒めていたんですよ。
と言う句である。
なんだか、円満な、酒でも入って陽気にお月見している印象を受ける。
こんな句に出会うと、すこし、救われような心持になる。
落語的な駘蕩とした空気が醸し出ている。
その「感」はやはり、江戸につながっているのだと思う。

【天候】
曇りのち雷雨。