上毛新聞様 勝手ながら許可なく掲載いたします〜後編〜 

2007年10月24日

 小銭しかないのに、どうしてもすき焼きを食べたくなった友人が、上電前橋中央駅近くの「肉のチャンピオン」で、一●(つかみ)の小銭並べて「これで牛肉売って」って頼んだら、「はいよ!」って売ってくれたんだって。でも、別の友人がタタキ用の牛肉買いに行ったら、売ってもらえなかった。でも、ご主人が話す売れない理由を聞いて納得、「あのご主人、肉屋の鑑(かがみ)だ!」と絶賛しきりだった。でも、断られて、恨む人がきっといるに違いない。

 岩神町の「養田鮮魚店」のオヤジが言っていた。「オレが気に入って仕入れた魚を買ってもらえなくなったら、魚屋やめるよ」って、いつになくしんみりした口調で。本気なんだ、覚悟なんだ、きっと。

 中央通りの「黒田人形店」に行くと、おかみさんは「これ、社長が仕入れたの」って、社長は「このコーナーはかみさんのです」って言う。こういうのってすごく素敵(すてき)なことだと思う

 附属小のお友だち、分かってもらえるかな。私は、すべての人の欲望を、すべて満たすことができるみたいに言うことはウソだと思う。そういうウソをつくのも、ウソに乗るのも悲しいと思っている。

 誰にも、みんなに楽しんでほしいと思うし、そのために努力もしている。でも、自分が「これが良い!」って信じられるものしか、みんなにおススメできないし、してはいけないのだ。それが正直ってもんで、昔から商いの基本なのだと、ヒゲ園長は、まちの人たちから教えられている。

 ウソつきは泥棒のはじまりっていうんだよ、みんな。正直に生きようよ。正直に生きて、それでも道が開けなければ、それも人生っていうもんだよ。附属小のお友だち、これで答えになっているかな。

編注:●は手ヘンに國
                                「視点 オピニオン21」より  前橋るなぱあく園長 佐藤 恭一