10声 憧れの喫茶店空間

2008年01月10日

仕事などの打ち合わせで、極々たまに喫茶店を利用する。
今日がその、極々たまにだった日であった。
木曜日の朝10時である。
店内で打ち合わせをしていると、驚いた点が二つあった。

まず一つ目は、「モーニングフリー」と言うその店舗独自のシステムである。
これは、珈琲(ドリンク)を一杯注文すれば、モーニングタイムの午前11時まで、
無料でパンとゆで卵がいくらでも食べられると言うシステム。
「11時ギリギリに来て食べれば昼食が浮くなぁ」
などと、即座に貧相な思考回路が働いてしまった。

そして二つ目、「モーニング習慣」な人達の存在である。
カウンター横の席で打ち合わせをしていると、
60年配と見受けられる、ハンチングを被った初老の男性が一人入って来た。
カウンターの席に腰掛けたその男性に、席を一つ飛ばした左隣に座っている、
これまた初老でタートルネックを着た男性が声をかけた。
「おはようございます」
「今朝は随分暖かかったですねぇ」
など、二人で世間話を始めたのである。
するとすぐに、カウンター内の黒エプロンを着けたマスターらしき男性が、
ハンチング氏に「本日はいかがいたしましょう」と低い声で言った。
そこでハンチング氏、「いつもの」とこれまた低い声で言ったのであった。

そうなのだ、このハンチング氏とタートル氏は間違い無く、
この喫茶店での「モーニング」が「習慣化」している人達なのだ。
なんと優雅な生活。
店内よく見渡せば、スーツを着たサラリーマン風の人は意外と少ない。
顔を寄せてヒソヒソ話をしている30代後半風、素性がしれないあやしげ男女。
店内の奥で背中を丸めてノートパソコンに噛り付いている、清潔感のない若い男。
地方都市版セレブ妻と言ったいでたちの、生活臭が感じられない奥様三人組。
意外と様々な人達がいる中、モーニング珈琲を飲みながら小説を読んでいる、
正統派優雅生活を送っていらっしゃる方もいて、羨ましい限りである。

私もいっその事、休日などはこの「鶴のひとこえ」を喫茶店で書いてみようか。
明日はその辺りを検証、いやもとい妄想してみよう。