53声 懐古的焦燥映画

2008年02月22日

現在、私の部屋にあるテレビでは金曜ロードショー「耳をすませば」を放映中。

レンタルビデオ店で借りた映画や、テレビのロードショーで観た映画と言うのは、
映画の内容は覚えているが、それがいつどんな状況で観たのかは覚えていない。
しかし、映画館で見た映画と言うのは、大抵どんな状況で観たのか覚えているものである。
自分が何歳の時、誰と、何処でなど。
感銘を受けた映画なら尚更の事。

そして現在、私はそれを思い出している。
1995年夏、友人と高崎中央銀座通り商店街の映画館で観た。
私は当時、中学2年生。

はい、そこのアナタ指を折って数えなくてもよろしい。

ともかく、だるんだるんに中だるみしていた中二の夏休み。
その時分は郊外に大型店舗もそれほど出来ておらず、商店街には人手が多く、
特に夏休み期間はいつも映画館は満員だった。
そんな折、この高純度青春ジブリアニメ映画である「耳をすませば」を大入りの映画館で観終え、
不純な中学生は高崎市中心商店街の路上に呆然と立ち尽くしていた。
蝉時雨を浴びながら、「このままではイカン」と焦燥。

その後、商店街の甘味処でカルピス味のかき氷を突付きつつ、
さっきから頭内に流れている「カントリーロード」に、ぼんやりと耳を傾けていた。
入り口の外、藍色の暖簾がダルそうに揺れていた。