69声 温泉の快 銭湯の懐

2008年03月09日

銭湯の思い出はない。
つまり、自分が育ってきた環境の中で銭湯文化に触れた事が無かった。
温泉の思い出はある。
まぁ、群馬県で育ったのだから温泉へは直ぐ行ける訳である。
初めて銭湯に、それこそ「横丁の風呂屋」的銭湯に行ったのは、
大人になって東京住まいをする様になってから。

東京では、住んでいた地域が下町だった事もあって、近くに銭湯が何件もあった。
そして、下町における銭湯の多さに驚いた。
現在でも、地元の人が老若男女を問わず利用しており、
下町に住む人々の生活の一部としてキチンと機能している事にもまた、ささやかな驚きを覚えた。
日曜日の夕方。
私が銭湯から出ると、地元の子供達が濡れた髪も乾かさずに、
「明日学校でね」なんて言いながら走り去って行くってな光景によく出遭った。
その光景は、私にとって新鮮であった。

「温泉押し」の群馬県に育ったから尚更だろうが、子供の頃銭湯に入ったなんて記憶は無い。
都市部の駅周辺にある事は知っていたが、機能していると言う印象は薄い。
むしろ、日帰り温泉施設が銭湯的機能を果たしていた。

帰郷して群馬に住む様になって、外で風呂と言う時は、
数多くある日帰り温泉施設を利用する様になった。
日帰り温泉施設は快適で、天然温泉はやはり気持ちが良い。
しかし、壁面に富士山が描かれている下町の銭湯の、ちょっぴり熱い湯がフト懐かしくもある。