104声 その時に感じる力

2008年04月13日

先日、第二十二回高崎映画祭特別企画である「立川談志と幕末太陽傳」を観に出掛けた。

1957年に公開された、川島雄三監督作品の「幕末太陽傳」。
昨年が発表50年で節目の年となり、東京国立近代美術館フィルムセンターで回顧上映が行われた。
今回の高崎映画祭でもそれにちなみ、二十二回特別企画としてこの作品の上映する事に。

そして、上映に際した特別ゲストに迎えたのは立川談志と言う粋な計らい。
なぜ粋な計らいか。
それは、この映画内容を見れば明らか。
古典落語の「居残り佐平次」を基盤として、
随所にいくつもの廓噺をちりばめられて作られた映画なのである。
まさにぴったりと言うか、まぁ芸のある組み合わせってトコだ。

壇上の談志師匠は、足を組んで少ししゃがれた声で見事に話を紡いでいった。
その紡ぎ方は、やっぱり「立川談志」だった。

良い噺や映画などを観た時、劇場の席に座りながら「良かったなぁ」と思う。
しかしその「良さ」を実感するのは、その劇場の出口を一歩出た瞬間である。
また現実の世界に一歩戻った時、自分でも驚くほど作品に「影響」されている事に気付く。
良いモノってのは、幾つになっても何年経っても、
観る人に及ぼす影響力は衰えないと、その日改めて感じた。