2422声 ひび

2014年11月09日

中之条町にて県内ものづくり作家たちによる展示会「秋、酒蔵にて」が終了した。
今年は僕が関わったイベントと丸かぶりで、酒蔵展の真骨頂である
酒盛り(作家が作った陶器や石や漆の杯で酒を飲む大宴会)に参加できず、
さみしい年であったけど、最終日に滑り込みで展示を見られた。

 

今回、一番印象に残ったのは、前橋で窯を構える綿貫哲雄さんとの会話。
綿貫さんの作る皿や杯、椀は、魚の鱗のような「ひび」が入っている。
これは、焼いた時の釉薬に入るひびなんだそうだ。
青い陶器に入るひびの紋様。これがとても美しい。

 

「昔は自分の思い通りのものを作ろうとしていた。今は、窯に入れて
その形に“してもらう”のを待つんだ。いいものを作ったのではなく、
作らせてもらった、その瞬間に立ち会うのはとても嬉しい」
というような内容だった。

 

そうして見せていただいた特別だという椀は、ひとの計算、技量を越えた
いいようのない素晴らしいひびが入っていた。
「その瞬間が起きるまで精進し続け、最後は天に身を委ねる」
そんな職人の生き様を垣間見た気がした。

 

前も書いたけど、めっかったぐんまの(ほ)こと堀澤さんと出会ったのも、
何年前かのこのイベントだった。彼は今年は群馬町の郷土料理「ざく煮」を作った。
根菜をかわいく刻み、烏賊でとった出汁で煮る料理。他の付け合せも仕事が行き届く。
これもまた、細かく書けば300字ほどになる・・一言で言えばおいしい料理だった。
・・いや、単に書くのがめんどうになったわけじゃないですよ・・

続けて欲しいイベントである。来年こそは酒飲むぞ!

 

昨年の展示の様子を撮影・編集しました。