2325声 ロールキャベツ

2014年08月04日

金がないと、人は弱る。

今でもないので困りものなのだが、

一番のピンチは22、3のあの時か。

預金もなく、財布には、帰りの電車賃がない。

・・・でも大丈夫、と自分に言い聞かせる。

新宿にいた。日雇いバイトの給料を受け取りに行く。

 

「認印が必要です」と受付の兄ちゃんに言われる。

取りには戻れない。目の前が暗くなるのがわかる。

・・・でも大丈夫、と自分に言い聞かせる。

新宿西口界隈の100円ショップを巡る。

3件目にして「岡安」の判子をゲット。

 

もらったのは数万円程度。

口座に入れる・・ではなく、最初の使い方は決めていた。

100円ショップを回っているうちに、

ちょっと老舗っぽい洋食屋の看板、

ロールキャベツの文字が目に留まった。

10月頃だった。

 

めったに食べないし、食べようとも思わないロールキャベツだが、

その時食べたものは、ちょっと泣くくらい美味しかった。

金はない。先も見えない22、3歳である。

ロールキャベツをハフハフ食べながら、

・・・でも大丈夫、と自分に言い聞かせた。