魚河岸の社長の車の助手席に座り撮影に回った。
レクサスである。
機械科を出ている癖に車に全く興味がない僕でも、
高級車であることはわかる。
走りだしから停車、ドアの開閉までがなめらか。
僕の高級車のイメージは、なめらか、なのである。
あの日あの時何かが違えば、
僕はレクサスに乗っていたのだろうか・・・
それはないにしても、
あの日あの時あの子を呼び止めていたら、
今も一緒だったのだろうか・・・
ジャコ・ヴァン・ドルマルは、
そんなことをずっと考えている監督。
老いた自分の人生の惨めさを、
近所の金持ちの幼馴染のせいだと恨み
「もしもあの時」の人生を回顧する
『トト・ザ・ヒーロー』は映画ファンの間で
静かに語られる名作だが、
それから18年の歳月のあと、
「もしもあの時」のテーマを進化させ
『ミスター・ノーバディ』という映画を作った。
主人公には3人の幼馴染の女の子。
もし、誰と付き合っていたら、人生がどうなっていたか。
時に圧倒的な映像美で、テンポよく映画は進む。
この、「だれと結婚していたら、どうなった」
というのは、実はとてもリアルな事とも思う。
美人だったり金持ちと結婚しても幸せは保障されない。
そして、優しい人気持ちが豊かな人同志が結婚しても、
人間は数学と違い+×+が+とは限らないのだから、
幸せな未来が待っているとは限らない。
僕も晩年、人生を振り返る時が来るのだろうか・・・
その頃はきっと、なめらかな車乗っちゃってるよねー。

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