今日はゾロ目。
それはさて置き。
古今亭志ん生じゃないが、この時期になると、奴と出くわす機会が増える。
それも、自宅の中での事。
どうせ、宵闇に紛れて迷い込んでしまい、自棄を起こしているのだろう。
洗面台や、玄関のタイル壁などに、大威張で踏ん反り返っている。
その姿ときたら、ふてぶてしくも一寸ひょうきんである。
まったく、ナメクジって奴は。
中には、見つけ次第、即刻、塩振りかけの刑に処する。
なんて判決を下す、無慈悲な人も多いと聞くが、それではあまりに可哀想ではないか。
思えばつくづく可哀想な奴で、田畑で人間に見付かろうものなら、
目の敵にされ、即刻死刑執行。
民家の家屋内で見付かっても、同じ。
ましてや、人の目を掻い潜ったとて、陽の高くなる頃には行き倒れているのが関の山。
なかんずく、子供等に見付かった奴などは、
火あぶりや、水攻め、炭酸攻めなどの拷問刑に処せられ、惨たらしい死を迎える事も多い。
しかしながら私、どうも、ナメクジに対しては、
嫌悪感と言うよりもむしろ、親近感を覚える。
それは、私と言う人間が、ナメクジに対し、何処か通ずる部分があるからだろう。
確かに、この梅雨季節、朝の寝床で目が覚めてからも、もぞもぞやって、
中々夜具を剥げない様は、或る種、ナメクジに通ずる部分があるのでは。
などと、雨振りの朝に考えている節があるのだ。
では、そんなナメクジの気持ちが分かる私が、
自宅の、例えば、深夜の洗面台で、出くわしたらどう対処するか。
答えは簡単、箸で摘んで外へポイ。
後は野となれ山となれ。
しかし、朝の寝床で私の体を、箸で摘んでポイと外へ出してくれる存在は無い。
この点では、私よりも、ナメクジの方に歩があると言う事になる。

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