さて、夕焼けは綺麗だし、丁度仕事も終わったし、酒場に出掛けるとするか。
そう思い立って足取りも軽く玄関へ行き、サンダルを履いて「よっこらしょ」。
ってな瞬間に、間が悪い事に、記憶の片隅にある引出しから、
「ぽろっ」と小さな用事が転がる。
その用事には、「日刊鶴のひとこえ」と、刻まれている。
刹那、サンダル履きの足に幻影。
鉄の足枷がしっかりと嵌めてあり、枷から伸びている鉄の鎖は、
しっかりと部屋のパソコンに結ばれているではないか。
「万事休す」
今度は足取りも重く、玄関から部屋へ戻り、背中を丸めてパソコンへ向かう。
如何にかこの足枷を外して、束の間の自由を味わいたいのである。
煩悶しながらも何某かの文章を書き殴り、もとい、キーボードを叩き殴り、
やっとの思いで一日分を更新する。
そして、逃げる様な心持で、そそくさと家から出て酒場に転がり込む。
一日の執行猶予を肴に、いかさしか何かで、一杯やる。

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