571声 夏休みのエスカレーター

2009年07月24日

夕方のスーパーマーケット店内。
買い物籠片手に、夕食の買い物と思しき、勤め帰りの奥さん、数人。
皆、その齢が、自分と近い。
そう感じる事に、一寸感慨。
このスーパーは、複合型スーパーで、私の住んでいる街では老舗に当たる。
大規模小売店舗立地法が制定される以前、平成初期の郊外では未だ珍しい、
大型ショッピングセンターである。
隆盛を極めていた当時、2階建ての店内には、
スーパー、玩具屋、本屋、電気屋、薬屋、生活雑貨屋、服装飾屋、ゲームセンターなどなど、
様々な店舗があった。
生活必需品から娯楽まで網羅する、驚異の品揃えを実現していたのだ。
このスーパーが街の自慢だったし、或る種、寄り処と言った感覚さえ持っていた。
それが今、非常に元気が無い。
時代は流れ、大規模小売店舗立地法が制定された2000年以降は、
郊外に新手のショッピングモールが続々と立ち並び、集客に陰りが見え始めてきた。
私等が子供時分、夏休みともなれば、小学生たちが、蜜に群がる蟻の如く、
わさわさと朝からゲームセンターに蠢いていた。
昼になれば家に帰って食事を済まし、午後になるとまた、どこからともなく、
涼しい店内へ戻ってくる。
鬼ごっこをして、店員さんに怒られる奴もあれば、
こづかいをメダルゲームで使い果たし、友達にタカっている奴もいる。
その光景は何だか、学校で無い学校の様相。
偶に、自分の親と鉢合わせになって、げんこつをもらって泣いている奴も、
必ず一人は見かけた。
私は、一階と二階を結ぶ下りエスカレーターに右腕を掛け、
「シューッ」と滑って行くのが、得意であった。
そのお陰で、随分、鬼ごっこの時は重宝したが、店員さんにも良く怒られた。
そのスーパーに、今、子供等は居ない。
ゲームセンターは在るが、遊んでいる子は、殆ど見受けられない。
子供が居ないゲームセンターは、酷く、褪せて見えた。