夕方のスーパーマーケット店内。
買い物籠片手に、夕食の買い物と思しき、勤め帰りの奥さん、数人。
皆、その齢が、自分と近い。
そう感じる事に、一寸感慨。
このスーパーは、複合型スーパーで、私の住んでいる街では老舗に当たる。
大規模小売店舗立地法が制定される以前、平成初期の郊外では未だ珍しい、
大型ショッピングセンターである。
隆盛を極めていた当時、2階建ての店内には、
スーパー、玩具屋、本屋、電気屋、薬屋、生活雑貨屋、服装飾屋、ゲームセンターなどなど、
様々な店舗があった。
生活必需品から娯楽まで網羅する、驚異の品揃えを実現していたのだ。
このスーパーが街の自慢だったし、或る種、寄り処と言った感覚さえ持っていた。
それが今、非常に元気が無い。
時代は流れ、大規模小売店舗立地法が制定された2000年以降は、
郊外に新手のショッピングモールが続々と立ち並び、集客に陰りが見え始めてきた。
私等が子供時分、夏休みともなれば、小学生たちが、蜜に群がる蟻の如く、
わさわさと朝からゲームセンターに蠢いていた。
昼になれば家に帰って食事を済まし、午後になるとまた、どこからともなく、
涼しい店内へ戻ってくる。
鬼ごっこをして、店員さんに怒られる奴もあれば、
こづかいをメダルゲームで使い果たし、友達にタカっている奴もいる。
その光景は何だか、学校で無い学校の様相。
偶に、自分の親と鉢合わせになって、げんこつをもらって泣いている奴も、
必ず一人は見かけた。
私は、一階と二階を結ぶ下りエスカレーターに右腕を掛け、
「シューッ」と滑って行くのが、得意であった。
そのお陰で、随分、鬼ごっこの時は重宝したが、店員さんにも良く怒られた。
そのスーパーに、今、子供等は居ない。
ゲームセンターは在るが、遊んでいる子は、殆ど見受けられない。
子供が居ないゲームセンターは、酷く、褪せて見えた。