576声 個室狂時代

2009年07月29日

天気は未だ愚図ったまま、どうやら7月が終わってしまう様である。
夏の行楽地、海やプールの来客数に、その影響が及んでいる。
蒸し暑く、ジメジメした天候が続くと、路地を抜ける風も、どこか黴臭い。
その黴臭い路地へ、自ら進んで、足を向ける。
行き先は、路地裏に在る小さな食堂であったり、飲み屋であったり。
本日、カウンター席でラーメンを啜っていて、ふと気付いた。
古い食堂や飲み屋ってのは、店内に仕切りが無い。
現代の客は、特に若い人に顕著な傾向だが、
仕切られた空間で食事をする事を望んでいる。
外食業者も、需要があれば供給で、店内に仕切りだらけの店舗を設計する。
やはり、そう言う店には、若い人が寄り付く。
若い人に人気の居酒屋などに行くと、店内はもう、迷路の如き入り組んだ設計。
また、店内の間接照明が薄暗いので、仕切られた部屋を出て、トイレに行くと、
もう帰り路が分からない。
おまけに、部屋に仕切りがあるので、中に居る人の顔が見えないので、探せない。
酔いも手伝って思考が混乱し、容易には来た路を思い出せない。
打つ手無く、独り悄然として、廊下に立ち尽くしている状況がある。
どうしても、パーソナルスペースを確保したいらしい。
近年では、老舗温泉宿でも、若い客向けに、
部屋にプライベート露天風呂を設置し始めている。
また、そう言う部屋が大人気だってんだから、
いよいよ個室時代の到来を感じざるを得ない。
街のネットカフェなどは、その最たる例であろう。
海やプールの来客数が減っているのも、どうやら、
天候の影響ばかりでは無いのかも知れない。
ともあれ、かく言う私も、個室は余り嫌いで無い。
むしろ、落ち着いてしまうのが、現状である。