3618声 秋刀魚の皿

2016年10月06日

十月と言うのに蒸し暑い。
台風一過により、南の方の風が流れ込んでいるためであろう。
秋刀魚の美味しい時期である。
今年の七月ごろであったが、築地市場で初入荷した秋刀魚一尾当たり、
三千三百円という高値値段がついたとの、新聞記事を見かけた。
過去最高値を更新したとの由。
十月の現在では、巷で生秋刀魚がおおよそ百五十円、焼いてパック
詰めになっているものが、おおよそ二百五十円といったところ。
庶民でも値段になり安心している、例年通り、今週以降はどんどん
値が下がって行くのであろう。
この時期は、日頃、秋刀魚を食べる機会も自然と増える。
外では主に定食屋か居酒屋である。
特に居酒屋などで、秋刀魚を実に汚く食べている人を見かける。
若者と思いきや、それが、そこそこの年齢の人の場合が多い。
そういう人は、先ず秋刀魚の背中の皮をちょこちょこと箸で剥がし、
背中のぷっくりした肉をつまんで終わりにする。
開きの場合でも、概ねそうである。
秋刀魚の肉は、背中よりもはらわた側の肉の方が脂が乗っているのに、
と奥歯をかみ締めつつ、瓶麦酒片手に無残に美味しいところが残った、
秋刀魚の皿を横目に見ている。
いっそのこと、一尾三千円くらいにしたら、そういう食わず嫌いたちも、
顔と骨だけにして綺麗に食べるようになるかもなどと思う。
そうは思うが、私たち秋刀魚好きに取っては相当な痛手なので、
それはそれで、大変困る。