3626声 錆びた匂い

2017年10月16日

昨日より雨が続いている。
日中でもセーターが必要なくらい、冷え込んできた。
部屋の隅にかけてあるエレキギターを手にとり、
小型のアンプの電源を入れて、気まぐれに弾いてみた。
もちろん普段弾いていないので、からきし指が動かず、
指の腹もすぐに痛くなって、すぐに電源を切った。
「弾ける指」になっていないので、当然である。
ギターなどすこし触ったことのあるひとならば分かるだろうが、
毎日弦を押さえていると、指の腹が硬くなってゆく。
むしろその状態になっていないと、弦を押さえたときに、
すぐ指の腹が痛くなってしまうのである。
引っ越すたび、かさばるギターなど手放そうと、いつも思う。
むしろ手放したいといつも思うが、実行に移せずに、いまもある。
思い入れもさほどないのだが、
指に残った錆びた弦の匂いを嗅ぐと、
妙に、まだ置いてあっても、という思いになるのである。