4460声 記憶は、熱いうちに語れ

2020年07月10日

奇跡的な展覧会は存在するのか?あるいは、太田市美術館・図書館で何が起こったのか?

 

美術館の裏側、については知らない方も多いのではないかと思う。映画館であれば作品があって上映環境があれば上映はできる。でも美術館に作品が並ぶなかで「なぜこの作家のこの作品が飾られているのか」「なぜこの作品の隣にはこの作品が飾られているのか」という事に疑問を持ったことがある人がいたら、それは基本「学芸員」と呼ばれる人がその組み立てを行ったから、という回答で間違いはないと思う。

 

●開館記念展「未来への狼火」
●本と美術の展覧会vol.1「絵と言葉のまじわりが物語のはじまり~絵本原画からそうぞうの森へ~」
●太田の美術vol.1「生誕90年正田壤 芸術は遊びの極致」
●開館1周年記念 佐久市立近代美術館コレクション+「現代日本画へようこそ」
●本と美術の展覧会vol.2「ことばをながめる、ことばとあるく——詩と歌のある風景」
●太田の美術vol.2「生誕100年 飯塚小玕齋展―絵画から竹工芸の道へ―」
●本と美術の展覧会vol.3「佐藤直樹展:紙面・壁画・循環」
●太田の美術vol.3「2020年のさざえ堂——現代の螺旋と100枚の絵」

 

太田市美術館・図書館の開館から現在の最新の展覧会までを担当した学芸員が、小金沢智さんである。僕は上記展覧会のうち3つで映像のお仕事をさせていただいているが、彼との出会いは実はもっと前・・

 

中之条ビエンナーレ2013の六合・十二みますの会場において、日本画家グループに小金沢さんが加わるかたちで「中之条の町に星の家を作る」という展示が行われた。いち観客として、これが・・実に良かった。絵と文章で構成されたこの展示は、壮大な映画を観たような広がりがあった。彼とはじめて会ったのがどこかは忘れているが、「十二みますの展示すごい良かったです!」と話しかけたことは、なんとなく覚えている。それからだから、ある程度長い付き合いだ。

 

小金沢さんは太田市美術館・図書館学芸員の職を降り、この春からは東北芸術工科大学の専任講師を勤めています。で、「実は太田を離れるんですよ」と連絡をいただいた時に、多分即答で「太田の振り返りを撮影しませんか?」と返していた。それは、営業トークというよりは、彼が太田で行った展覧会のどれもが奇跡的に素晴らしかったから、何か残さねばいけないという勝手な使命感だった。記憶は、熱いうちに語れ、的な。

 

これからの太田市美術館・図書館にも期待しつつ、太田市美ファンの方やアートを生業とする方にはぜひとも観ていただきたい動画です。