4533声 くなしり

2020年09月17日

朝から仕込み。3時過ぎに目が覚めて、布団の上でウトウトと5時過ぎまで。一旦目が覚めると眠れなくなってきた。今日は高比重ビールの仕込み。普段の1.5倍の麦芽を使った。いい感じになったと思う。ひと息つきにロイヤルホスト。くなしりのマスターが亡くなったと、昨日柴田さんから聞いた。心筋梗塞だったらしい。つい10日ほど前に、モントレーの食品売り場で見かけたばかり。魚売り場の若い子を捕まえて、コロナの愚痴をこぼしていた。このコロナが始まって、少し慣れてきた5月、はじめてくなしりにお邪魔した。とびきりの鮪と手作りの塩辛、ツマがまたおいしくて。骨まで食べられるというぶり大根は初めての味だった。とにかくすべてが、唯一無二の料理だった。その後2回ほど伺ってそれきり。マスターは若い頃北海道で漁師をしていて、毎日漁場の船の上で1,000本の魚の下処理をした、なんていう豪快な話を聞いた。78歳だったらしい。そんな歳には見えない。若かった。78歳まで調理場に立てることが、まず私には想像できない。立派だ。たしかに立派かもしれないが、昨日まで一緒に店を切り盛りしていた奥さんはどうするのか。その寂しさ、想像を絶する。同業者として、後輩として、どうしてああいう老舗名店の、しきたり、技術、心を残せないのかと、それがとても悔やまれる。どうぞ安らかにお眠りください。長い間、お疲れ様でした。