いよいよ、秋の暮である。
秋気も日を追う毎に、強くなってきており、
吹く木枯らしに冬の気配を感じる。
季節が変わってくれば、やはり、食卓に並ぶ食材も変わって来る。
っても、旬の味覚とは縁遠い食生活を、送っているので、
容易にその食材を列挙し得ない。
その中でも、今日の夕餉において、
食材からではないが、深まる秋を感じた一幕があった。
夕餉に並んだのは、スーパーの値切り寿司、いや、にぎり寿司。
割引シールが貼ってあったので、つい。
私は、寿司が好きなので、喜々として箸を進めていた。
進めて行くのだが、いまいち、速度が出ない。
寿司が美味しくない訳ではない。
それは、冷たい、からなのである。
スーパーのにぎり寿司ってのは、握ってから時間が経っているので、
当然、冷たくなっている。
秋の半ば頃までは、それが少しも気にならなったが、晩秋の今は、気になる。
あまり冷たいと、舌が味の輪郭を掴めない様な、ぼんやりとした味覚になるので、
大いに損をした様な心持がする。
しかし、その合間に飲む、熱いお茶が、とても美味く感じる。
お茶ばかりガブガブ飲むので、お腹が一杯になってしまい、
やはり、損をした様な心持である。
これとは逆の原理で、おでんを食べている時は、
冷たい麦酒が美味く感じる。
麦酒の方は、ガブガブ飲むと、次第に好い心持になってくるので、
こちらの方が問題ない。
どうやら、寒い時期の食卓の主役は、温かいものに譲っておく方が、
理にかなっている。
【天候】
雲一つない秋晴れの一日。