どうにかこうにか、行って来た。
湯河原へ、である。
未だ夜の明けきらぬ高崎を出て、湘南新宿ラインは一路、首都東京を目指す。
寝ぼけていてどこでどう乗り換えたかもおぼろげな状態で、
乗車しているのは東海道線。
小田原駅を過ぎたあたり、秋晴れの空に、浮かぶ富士山を見て、目が覚めた。
淡い空の色と相まって、まさに、銭湯のペンキ絵。
湯河原へ着き、一通り、吟行会スケジュールに則る。
沢の小径を、黛まどかさんと一緒に吟行して行く。
その参加者は、ざっと百数十名。
秋気が澄んでいて、とても心地好い。
吟行会の表彰の後、雪崩式に、「第10回湯河原文学賞俳句の部」の表彰式。
名前を呼ばれて、表情を受け取る。
ってのは、最後を遡れば、高校の卒業式以来ではないか。
その時は校長先生、今日は湯河原町長。
旧式ロボットの如く、ぎこちない動作で表情を受け取り、席へ着く。
表彰式。
って事で、学生諸氏は制服。
一般の受賞者の方は、ややフォーマルな装い。
その中、私だけが、ジーンズにウィンドブレーカーの遊山スタイル。
一寸、赤面。
宿泊はせずに帰路へとついてしまったが、
老舗の湯宿へ泊まってみたいものだ、と思った。
温泉街自体は、やはり寂れているのだが、海が近いだけに、
鮮魚店や海鮮居酒屋等が目立ち、群馬県人にとっては、新鮮である。
漱石に藤村に芥川、その他、文学界の巨匠たちも訪れている。
ってのは、正直、或る程度の規模の温泉場なら、何処でも耳にする話。
しかし、そう聞くと、やはり湯気の向こうに思いを馳せてしまう。
湯河原の街で感じたのは、あたたかさ。
それは勿論、気候だけでない。
【天候】
終日、秋晴れの一日。