シンキチの店番の日。ばっちゃんがおめでたとなり今年から体制が変わったため、祝日はシンキチに立っている。久しぶりにお目にかかるお客様が何人かいて感慨深い。みんな歳をとったんだね。人間にはいろんな生き方があって、いろんな生き方をできる基盤、条件がある程度揃っているのが現代の日本だとも思うけれど、かといって実際にいろんな生き方をできるのかと言われればそれは決して簡単ではない。むしろいろんな生き方をできる条件がある程度ある時代に生きているがゆえの不幸、みたいなものもある。いろんなことをしてきたからそう思う。いろんな生き方をしていいんだよ、なんて軽々しく言えないと思うようになった。本人はいろんなことをしてきた端くれとして最後まで生きるつもりだけれども。生き方はいろいろあっていい、なんてうっかりでもしっかりでも思ってしまうのは業が深い証である。同じにおいがする人が自然とお客様にも多くなる。最後まで闘え、と自分には言えても、他人には言えない。