毎日店を開けてお客様を待つ不安定さがあるとすると、常に満席とは限らない予約制の店の不安定さもあるが、そのうちの後者を選択した私。なんの仕事でも仕事の前には準備があって、飲食店はその準備にかかるコストが高い。仕入れに時間とお金がかかり、仕入れたものを加工することに時間がかかる。コストが高い分、いざ開店となり満席の時間が長くなれば報酬も多いのだが、ときに席が埋まらずかけたコストを回収できないことが多々ある。実際はほとんどがその待っている時間に費やされるというのが正しいかもしれない。そういう待っている時間も人生の勉強だと思えば意味もあると考える呑気な思考回路のタイプだが、性質的にはそういう時間が長くなると持ち堪えられなくなるというせっかちな人間でもある。飲食店の開店前の準備は走り幅跳びの助走に似ている。踏切板まで念入りに歩数を合わせ全力で走ったら、跳びたい。