ここは、志津屋の二階のイートインコーナー。
昨日、志津屋でカルネを食べ終え、二つは多かったかな〜などとぼんやりしているとき、帽子、サングラス、マスクのおばちゃん(以下、「A」と記す。)が、わたしの横に来て、マスクをずらしながら咳をした。
思わず、凝視してしまったのだが、Aは、その後も客の少ない店内で、しきりに席を移動しながら、咳をしている。明らかに挙動がおかしい。しかも「せき」がかかっている。
わたしはとっさに身支度をして、トレーを返却場所へ運ぶ。
すると、Aも急に席を立つ。
なので、先に行ってもらおうと、ゆっくりゴミを捨てながら様子を伺っていると、Aは、あきらかにこちらが動くのを待っている。
急に立ち上がったのに、階段に向かわない。
仕方ないので、先に階段を降り始めると、Aがついて来る気配が。階段の途中で、引き返すフェイントをすると、Aは慌てて向きを変えた。
その隙に階段を駆け降り、店の外へ出た。
勘違いだといいな〜と、おもったが念のため人通りの多い歩行者天国のアーケードに向う。
そして、勘違いでないことを、扇子屋の前で思い知る。
自転車をおしたAが背後に現れる。
一瞬、寒気がしたものの、何度かこういうのは経験しているので、絶対巻いてやると闘志に火が付く。
アーケード内は、自転車に乗ることが禁止されているので、距離を詰められることはない。
とりあえず、MOVIX方面へ。
途中、寄りたい店が多数あったが全部諦め、MOVIXに入る。中までついてくるには、自転車を停めなくてはいけない。ここで一息。
脇の出口から出ようと、表を伺うと絶妙の位置にAの姿が。なんなんだ。脇から出るのをあきらめ、少し考える。
帽子を目がけてついてきているのではという仮説をたてる。
それならばと、帽子をとって正面から出る決心をする。帽子をかぶっている人は、意外といない。
そして、これで駄目なら、交番に行けばいい、ともおもいMOVIXの正面から通りにでる。
気づいてはいないようだ。
角を曲がり、人混みをかき分けながら、走る。信号を渡り、後ろを確認する。
どうやら振り切ったようだ。
やれやれ、というところで、宿に戻る。
お昼までにお腹がすくか心配だったことが嘘のように、お腹がすきそうだ。
お昼は、富小路粥でお粥。
その後、嵐山の祐斎亭で川端康成気分を味わう。
夕食は戸石さんで鰻。
ということで一日が終了。